書評

マラソン走っても疲れないだと?!マラソン嫌いでも面白かったマラソン本。

これ、読みました。

東アフリカの選手がなぜ強いのか。
それを知るために、選手の体を調べていくという本。

それだけのレポートなのだが、これが驚くほど面白い。
いわば、スーパーマンの仕組みが分かるような面白さがある。

まずは、身体の違い。
東アフリカのトップランナーは、走っても体が、そして足が疲れないのだという。

走っても疲れない??

最初にそう聞いた時は理解が出来なかった。

だけど本を読み進めると、それが分かってくる。
僕ら一般人でも、歩くか、それより遅いスピードで走れば、疲れはしない。
足もだるくならない。
それと同じ原理で彼らは、マラソン2時間数分台のスピードで走って、疲れない。

疲れない理屈は僕ら一般人と同じなのだが、
疲れない速度のボーダーラインが全然違うのだ。

いったい何が違うのか。
それが、「最大酸素摂取量」や「乳酸性作業閾値」というもの。
酸素を取り込む能力の高さや、
どのくらいの運動強度で乳酸が増え出すか、
といったようなライン。

他には、なんと赤血球の大きさまで、普通の人間より小さいそうだ。
だから血が滑らかに流れ、体に酸素が行き渡りやすい。

こんな所から違うのなら、そりゃ勝てねえわ。
でも「なんかわからんけど強い」
よりも納得するし、面白い。

で、ここまで身体能力に恵まれていながら、
さらにブラッシュアップするところにトップ選手のトップ選手たる所以がある。

二番目にはランニングフォーム。
いかにエネルギーロスの少ない走り方をするか。

最後に、頭脳。駆け引き。
どんなタイミングで何を考えるのか。

マラソンで勝つとは、
才能と努力をフルに活用することなんだな、とよくわかる。

ひとりの選手の物語を読んでいると、もう凄すぎて決定的な無敵の選手みたいに思えてくる。
が、実際にはひとりの選手が勝ち続けることなく、
日々それを超える選手がさらに現れる。

こんなにすごい人を超える人がいるのかよ、っていう驚き。
それがまた、数ヶ月であっさり現れる驚き。

マラソン、深く知ると面白い。
走るのキライな人も楽しく読める一冊です。

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