書評 考察・意見

資料作りが大嫌いで困っていた、かつての僕に薦めたい本2冊。

仕事で資料作るの好きですか、嫌いですか。

僕は大っ嫌い。でした。

考えてることを、きれいな資料にするなんて意味ないだろ。分かればいいし。フォントをそろえるなんてもう、無駄すぎて意味が分からない。

 

そんな風に思っていたのですが、この「イシューから始めよ」を読んで以来、急変。資料を作るのがけっこう好きになりました。

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」(Amazon)

  • 作者: 安宅和人
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2010/11/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

まずは資料全体の主題(メッセージ)を仮設定した後、とにかく骨組みを作ってみる。頭で考えるのではなく、手で考える、とでもいう感じ。これが楽しいのです。こんなこと書いたら変かなあ、と思う前に、浮かんだものをまず書いてみる。そうすると、もっといいアイデアが出てくる。そのアイデアを基に、すぐ手直しする。それを繰り返すうちに、資料の骨組みが出来上がる。でもだいたい、しっくりこない。うーん。ストーリー展開がおかしいのかな。

というわけで、最初から資料を作り直します。なに、たいしたことはないです。どうせアウトラインしかできていなかった資料ですから。

このスクラップ&ビルドを3回くらい繰り返すと、納得のいくアウトラインが出来上がります。どんなデータを集めて、どう論理展開したらいいか、おおよそ目途がつく。そうして初めて、中身の作りこみに入ります。

作りこみだって、考え込むより先に、思いついたように書いてみるのです。これ要らないな、と思ったパーツは躊躇なく消してみる。これが大事。要らないかも、と感じたパーツはさっさと消したほうが、次が生まれてきます。もちろん、ちょくちょくバックアップを取っているから、やっぱりさっきの復活させたい、となっても大丈夫ですけどね。

 

そんなわけで、手で考えてラフな試作品をつくる。つくることでさらに考えが進むのが、楽しいのです。だから、嫌いだった資料作りが好きになった。むしろ、誰からも資料作れって言われてないのに、考えをまとめるために資料を作る、ということを日常的に始めています。

 

ところがこの手法が、会社ではなかなか理解されないんですよね。「上司にこんなラフな資料を見せるとはどういうことだ、あそこもここも穴だらけじゃないか」。そう、言われこそしないですが、とにかく意見の欲しい本筋よりも、穴だらけのところをひたすら指摘される。『そーゆうことが聞きたいんじゃないんだけどな』と思いながら、引き下がることなんて、よくあります。

まあ確かに、「自分が悩む時間を省くために、完成度の低い状態で上司の時間を利用してブラッシュアップする、ずるいやり方」と言えなくもないですよね。というか、そのとおり。

だけど、お互いそのほうが、ハッピーだと思うんですけどね。上司が意図したものに近い資料が、早く出来上がるわけですから。そんなわけで、評判は下がるが気にしない。このやり方のほうが良いはずだ。なんて思って続けていました。そしたら。

21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由

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  • 作者: 佐宗邦威
  • 出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
  • 発売日: 2015/08/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

僕のやり方を正当化してくれる援軍が、ここにあったのです。その名も「デザイン思考」。厳密に言うと、デザイン思考って「手で考える、とにかくプロトタイプを作る」だけではないんですけど、それでも僕のやり方を正当化するには十分です。

『いま流行りのデザイン思考って、こんなやり方なんですよ』って言えば、ラフな資料でも、話が進むものです。

 

資料作りが嫌いな方。

 この2冊を続けて読んでみてください。きっと、資料作りが「自分のための楽しいこと」になります。おすすめ。

photo credit: Nguyen Vu Hung (vuhung) Resume Writing Tips: Mẹo viết resume (CV, hồ sơ xin việc) (Tiếng Việt) via photopin (license)

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