書評

他人を動かすための知恵、またはソーシャルメディアでウケる技術

ダニエルピンクの新刊読みました。とはいえ、出てからちょっと経ってるけど。

講談社
  • 発売日: 2013/07/04
  • メディア: ハードカバー
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  • 一言で言うと、期待はずれ。
    悪くないですよ。むしろ、まあまあ良かった。
    でもダニエルピンクの本って、これまでのものは「すごく良い」からね。

    まあそんなこと言っても始まらないので、何かしら得たものを抽出しようと思います。

    人を動かすにはどうしたら良いか

    原題がすべてを物語っている。
    To sell is Human.
    なんて言うんでしょうね。「売るは人なり」とでも訳しましょうか。
    この味わい深い原題が、なんの変哲もないカスみたいな邦題になっちゃってるのが悲しいですが
    出版業界なんてそんなもんよね。売るためでしょどうせこの邦題は。

    まあそれはおいといて、原題が示す通り、
    人間活動そのものが、広い意味での「売る」ということだったと。
    売るというのは、つまり自分が希望するように人を動かすということ。
    それが本書のテーマです。

    頼んで何かをしてもらったり、何かを薦めたり、した結果、他人が動く。
    そういう活動を「売らない売り込み」と位置づけ、
    他人にうまく動いてもらうにはどうしたらいいか、という話になっている。

    古典的なイメージの「セールスマン」がもはやいないのと同様に、
    他人に動いてもらうにも、古典的なやり方やってちゃあダメですよ。そりゃあね。

    じゃあどんなやりかたなら良いのか。

    そのポイントが、同調、浮遊性、明確性。

    って、よくわからないけど、つまりは、
    ネガティブな圧力は受け流し、
    効果的なフレーミングにより訴えたいことを際立たせ、
    共感を得ることで人を動かす、ということ。

    なんかよく聞く話だと感じませんか。
    そう。ソーシャルメディアで名をなすにも、セールスで一旗揚げるにも、
    実社会で人を動かすにも、根本は同じ。
    人間力ってこと。
    いくらかのテクニックはあるものの、ね。

    なんだか身もふたもない話になりました。
    だから物足りないんだよな。今回の著作は。
    でも、ちょいちょい書いてあるテクニックはとても参考になりますので
    本当、読んで損はないです。

    特に印象に残った部分

    あとは断片的になっちゃいますけど、特にためになった部分を引用しておきます。
    正直この断片的な部分だけでも、本書を買う価値はあると思います。

    ■セルフトークについて
     ポジティブな言葉よりも、質問形のほうが効果が高い。

    確かに、ポジティブなセルフトークはネガティブなセルフトークよりも効果的だ。
    ところが、それよりも効果的なセルフトークは、(中略)疑問文になるのだ。

    p.117

    つまり、「僕にはできる」と自己暗示をかけるよりも、
    「僕にできるだろうか?」と自分に問いかけるほうが成果がでるという話。

    ■ポジティブ比
     ネガティブなのは良くないが、ポジティブすぎてもよくない。

    ポジティブな感情がネガティブな感情を上回り三対一に達すると、一般的に人生を謳歌できるようになる。
    (中略)
    比率が十一対一に達すると、ポジティブな感情は有益どころか有害な影響を及ぼすようになった。
    (中略)
    自己欺瞞が自己鍛錬を押さえるようになる。

    p.123

     Twitterによくいる、名言ばかり並べてる意識の高い人に見せたい。ぜひ。

    まあそんな本でした。

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