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「インターネット的」とは絆のことだった。書籍 インターネット的 いまさらレビュー

手をつないだ世界の人々のイラスト「世界はひとつ」

インターネットは、ただの道具なのだろうか?インターネットに影響され、世の中が良くなっているとしたら?

 

ずっと前から話題の、こんな本を今さら読みました。出版されて10年後に話題になる、ってことは、おそらく不変の原理みたいなものが書かれている。そう思ったので、出版後20年の今読んでも役立つだろう、と思ったからです。

どんな本か

インターネットのことはあんまり書いてありません。「インターネット的」という考え方について、書いてあるのです。インターネット と インターネット的は、全く違う。インターネットはものの名前、インターネット的は、行動の様子を表す言葉。別にインターネットを使わなくても、インターネット的にはなれる。

じゃ、インターネット的とは何だ。

この本では、「リンク、フラット、シェア」というキーワードで説明されています。ざっくり私なりに言うと、

  • リンク
    明確な利益や目的ありきではなく、なんとなく面白そうなどの理由でみんなとつながる。お金などから自由になる。
  • フラット
    今の地位など関係なく誰とでもつながる、つながることが許される。現実のポジションから自由になる。
  • シェア
    持っているものは、秘密にするより公開する。そのほうが面白いことが起きる。これも、利益などから自由になるってこと。

という感じです。2022年の今なら、皆さんネットでよく目にしている行動なので、理解できますよね。これを20年前に書いていたから凄いわけです。あの頃は、ネットでいかに稼ぐか、をみんなが考え始めていた頃。ネット通販などが普及し始めたり、ドットコムバブル前夜というところでした。

しかし、今ならもうわかり切ってることなのか?いまさら、この本は読む価値がないのか?というと、そうでもないわけです。愚かな僕らは同じことを繰り返す。今で言えば、メタバースですね。様々な企業がメタバースで稼ごうと、なんやかんや、やろうとしているわけです。ネット通販が盛り上がるころに似てるよね~。同じことを繰り返すのかな。

でも僕らには、いまやこの本がある。20年前、糸井さんしか持っていなかったモノの見方を、僕らもこの本で持っている。少し希望が持てます。

結局インターネット的とはなんなのか

具体的に言うとそーゆうことなのですが、もう少し考えを進めてみます。私なりにまとめると、インターネット的とは、行動様式。具体的には…

  • リンク
    ネットで面白そうな人はフォローするし、コメントしたり、感想を送ったりしてつながる。これはもうできてる。
  • フラット
    自分が有名人だろうが、会社役員だろうが、簡単に気軽につながる。まあこれももうできてますよね。ネットで自分の役職を振り回すヤツなんて、いないでしょ。肩書を、気を引くための看板にはするけど、肩書によって威張る人はいない。そんなのダサいから。
  • シェア
    これは…一番できていないかもしれない。このブログも、私が得た知見のシェアですが、誰かが受け取ってこそのシェアですもんね。ただの発信ではない。でも、「読まれるブログ記事」を狙って書くことなんて難しすぎる。結局、いるもの要らないもの一緒にシェアしてみるしかないのです。

って書きながら、気が付きました。結局私、ネットの中での行動について書いている。ちがうちがう。

インターネット的とは、インターネットの外でどうふるまうか。それをただ、ネット内にも投影するだけのこと。

今までリアルの世界では、目的もなく繋がろうとしたり、意味もなく知らない人とシェアしたりなんて、おかしい行動だったわけです。それがインターネット文化のおかげで、リアル世界でもそういう行動が普通になってきている。

よく使われる言葉で言えば、「絆」ってのはそれに近い。

インターネット的な考え方を以て、リアル世界で活動していく。そうする人が増えれば、リアル世界もインターネット的になっていく。それは、良い世界であるはずです。そうでしょ?みんなと気軽につながれて、みんな誰かの役に立って、みんなで分け合う。いいよね。

みんなで「インターネット的世界」を目指そうじゃありませんか。

お勧めです。この本。

photo by いらすとや

仕事道具は便利になってるのに、僕らはなぜ忙しいままなのか。

なんか、おかしくないですか。世の中、便利になる一方なのに、忙しくなる一方。パソコンがやってくれることが増えたのに、なんでヒマにならないんだよ。

と思っていたら、この本に答らしきものが書いてありました。

どんな本か

マルクスの資本論なんて、教科書にも出てましたから、そりゃ名前だけは知ってました。でも、長いし、古いし、難しそうだし。少しだけ中身を知りたいけど、永遠に読むことはないだろう。ところが、100分de名著シリーズで解説本が出ていました。それなら私にも読めるぞ。というわけで、さっそく買って読んでみました。

そしたら、すごかったんですよ。いまの世の中の仕組み、根底から考えなおしていく本だったわけです。

ひとことで言えば、資本主義社会ってのは、「どんなに便利になっても絶対に労働時間が減らない仕組み」なのです。だって、労働時間が余ったら、その時間をさらなる生産につぎ込むから。

ちょうど、お金持ち(資本家)が、事業で得た利益を次の事業の投資にまわすのと同じこと。それこそが資本主義だもんね。

そうか。そーゆうことか。なんか変だと思ってたんですよね。こんなにスピーディーに仕事が出来るようになったのに、10年前よりむしろ忙しくなってるなんて。

それにしても、ずっと昔にこんなことを考えてたマルクスってのは、すごいな。今まで考えたこともなかったけど、確かにいまの社会問題をたくさん解決できる気がする。そんな視点が手に入る本です。

何を得たか

確かに新しい、しかも高い視点が手に入る本なのですが、見える問題がデカすぎて、どうして良いかは分からない。どこからどう手をつけて良いか見当もつかないけど、なんとなく問題意識だけは持てる。

いますぐ解決はできないけど、「おかしい」と気づけただけで儲けもの。そんな感じです。いまの延長じゃない世界線がある、といいましょうか。

みんな、なんとなく気づいてるでしょ。環境破壊も、地球温暖化も、過労死も、何かおかしい。今でも不便と思ってないけど、さらに便利になっていく家電。既に多くの人が使っているのに、いまだ赤字にして事業拡大を続けるWebサービス。マネタイズ方法が確立してないのに、やたらと時価総額の上がるベンチャー。なぜ、そうなっているのか。根源のそのまた根源が分かる。

ただ否定するだけでは、山籠もりでもするしかないわけですが、そうじゃなくて違う世界を目指し、何か行動したいものです。そのヒントを得た感じかな。

お勧めの読み方

この本だけでも、とてもお勧めなのですが、前回レビューした「われらはみな、アイヒマンの息子」と続けて読むと、理解が進んでめちゃめちゃおすすめです。アイヒマンでぼんやり得た問題意識が、資本論で少しだけピントが合ってくる感じです。

今こそおすすめ。(マンガ版も出てるし、アンコール放送もされたようです。資本論、100分de名著シリーズの中でも特に好評なのでしょう)

Free Stock photos by Vecteezy

巨大な仕組みの中で、正しい判断力を保つことはできるのか。われらはみな、アイヒマンの息子 レビュー

ずっと気になっていたこの本を、読みました。絶版なんです。

きっかけは、伊坂幸太郎「モダンタイムス」。小説の中に出てくる本ですが、実在しています。そこで関心を持ったのですが、新品は絶版、中古は一万円という状況。そんな中、図書館で偶然見つけました。

読んでみたら…難しかった。難しいけど、言いたいことの半分くらいは、なんとなく分かる。という感じ。

どういう本か

ナチスドイツでユダヤ人虐殺の指揮を執ったという、アドルフ・アイヒマン。彼は裁判で、無罪を主張したと言います。いわく「自分は命令に従っただけだ」。ここだけ聞くと、むちゃくちゃな言い逃れに聞こえますが、実際、本心からその通りだったらしいです。内面に残虐性を持つわけでもなく、ユダヤ人を憎んでいたわけでもない。そのあたりは他の本に詳しいですが、本当に命令だからやっただけらしい。まじか。

この本は、哲学者ギュンターアンダースから、そのアイヒマンの息子への公開書簡です。

ここまでの話と、本のタイトルから、カンの良い人は推測するでしょう。「なるほど、アイヒマン本人が悪いんじゃなく、仕組みが悪かったということか。だから僕らもアイヒマンになっていたとしてもおかしくない、という本なのかな」と。

それは半分あたっていて、半分外れています。

著者は言うわけです。「人はものすごい巨悪に当たると、自分の感覚でとらえきれない。だから何百万人の虐殺なんてことができてしまう。しかし、とらえようとすることを放棄してはいけない。放棄した先には、アイヒマンと同じ運命が待っている」と。(かなり私の解釈が入ってます)

つまり同じことが起こりうる、というわけです。同じこととは...ホロコーストじゃないにしても、「大がかりなおかしい仕組み」に対し、ブレーキを効かせられないこと。仕組みの結末が、異常なことになると分かっていても、やってしまうこと。

僕らに関係ないようである話

アイヒマンを、ひとつの歴史の話、と捉えるのでは、「自分はそんなひどいことするわけない」で終わってしまうのですが...歴史の話じゃなく、著者は現代への警告をしているわけです。

アイヒマンを仕組みの産物と見るのではなく、思考停止の産物と見る。加えて、世の中がますます経済合理性や仕組み化、便利化、自動化へ突き進んで行く大きな流れ。環境破壊。個人情報を対価に提供される無料サービス。こういうものを考えあわせると、「大がかりなおかしい仕組み」がすでに動いていて、僕らがそれに加担している可能性だって想像できますよね。僕らはそれに、どう接するのか。実はこの点が、著者が最も言いたかったこと。

いきなり僕ら自身の話になってきました。

 

アドルフ・アイヒマン自身は、やってしまったのだから、もう取り返しがつかない。しかし、アイヒマンの息子はまだ、父アドルフを肯定することも、否定することもできる。まだその選択肢はある。どちらを選ぶのか。

ホロコーストを、いま動き始めているかもしれない「大がかりなおかしい仕組み」に置き換えれば、僕らにも言えること。まだ、選択肢がある。

だから「われらはみな、アイヒマンの息子」なのです。

あなたは、どういう選択肢を選びますか。

他人に尋ねておいてズルいけど、僕には、まだ選択肢自体が見えていない。しかし問題意識だけでも持っておいたら、大事なところで間違わずに済むんじゃないか。

この本、おすすめです。いま見たら、絶版なのは変わらないけど、中古価格が3000円くらいに下がってますね。良かった良かった。

人生100年時代、最も必要な準備を示してくれる本。

握手をしているビジネスマンのイラスト「若者とおじさん」

あなたは何歳まで生きますか?

 

人生100年時代、という言葉が言われてまあまあ経ちます。僕らが子供のころに珍しかった、90歳超えの高齢者も、いまでは普通によく会います。本当に人生100年になっていくのだろうな。

そんなこんなで、人生100年時代に備えて僕らは何を準備すればいいのか。いろんな本がそれを教えてくれますが...一番大事なものが、この本にありました。

この本で何を得たかったか

私はシステムエンジニアをしています。しかし、新しい技術がものをいう世界。SEは35歳までが限界だ、なんて説もある。ならば自分は今後、どういう方向へ行くのか。プロジェクトをうまく完了させる、プロジェクトマネージャーを頑張るしかないのだろう、と思ってはいましたが、なんとなく迷いがあるのも事実。

それでこの本を手に取りました。技術とハードワークで道を拓くスタートアップに、年長者だからこそ貢献できるというのです。

自分が興味あるスタートアップ分野。「若いときにこんな時代だったらなあ」なんて不毛な想像するんじゃなく、いまからでもやれることがある。それはなんだろう。

それを知りたかった。

どんな本か

モダンエルダーとは、現代の年長者。ってそれじゃ直訳しただけか。ひとことでは表しにくいですが、「上から目線じゃなく、経験と知恵で、職場がうまくまわるように取り計らえる人」みたいな意味です。ドラマとかでたまにあるでしょ。会社で皆が困ってるとき、普段目だたない掃除のおじさんが、ふらりと現れて、ちょちょっと解決して去っていく...みたいなやつ。あんなイメージですね。

この本では、テクノロジーに詳しいわけでもない50代の著者が、airbnbに入社して活躍していく様子が書かれています。もちろん著者本人の話なので、単なる物語ではなく、試行錯誤や、分析から産み出された「モダンエルダー」になるためのコツ、考え方にまで昇華されています。その気になれば、明日からでもできる。

簡単に言ってしまえば、自分の持てる知恵は惜しみ無く与えつつ、若者から積極的に学ぶオープンな姿勢でいること。学ぶ姿勢が、謙虚さを生む。知恵で貢献するから、卑屈にもならない。とてもよいスタンスになるわけです。

そうそう、老害じゃなくこんな先輩になりたかったよね、という感じ。

本書で得た最も大事な点

この本はひとことで言えば...40代なかごろから「今のままで良いのかなあ」と迷い始めた我々が、今持てる力を最大に活かすヒント、ということになります。それだけでも十分だけど、この本の最も凄いところはここにありました。

過去の荷物を全て背負ったままでは、今を学ぶことはできないし、他の人たちから学ぶ余裕もない。

そう。人生100年時代の準備とは、何かを得ようとするのではなく、捨てること。40年なり50年生きてきたうえで、「アイデンティティ(自分はこういう人間だ)を捨てる」ことが最も大事だったのです。これに気づかせてくれたのが、この本のもっともすごいところ。
そりゃそうだよね。40代にもなれば、職場ではベテラン。今までの経験と築いた立場から、どうしたって今までの延長線上に進もうとするわけです。これは惰性かな…と小さい声が聞こえたとしても、聞こえないふり。わざわざ、未経験の分野へ飛び込もうとは思わない。

ところが。

未経験の分野に飛び込もうが、周りが若い人ばかりであろうが、我々は既に「どこでも役に立つはずのもの」を持っているのです。それが知恵。
持っているものが役立つかどうかは、姿勢次第なのです。姿勢によっては、上から目線で頭の固い厄介者にしかならない。今までの実績を忘れ、学び、貢献する姿勢を持てば、あとは場を選ぶだけ。現状維持でジリ貧になっていくよりも、ずっといい。

ここまでで、あんまりピンとこなかった方は、映画「マイ・インターン」を見ることをお勧めします。私は主人公と違って70歳ではないけれど、めちゃくちゃ染みました。この本の言いたいことがわかりやすく表されています。

モダンエルダー、おすすめです。このままでいいのか、迷い始めた40代の方は特に。

photo by いらすとや

マスコミに踊らされない。知ったかぶりおじさんにならない。メタ思考トレーニング

京都のお寺、龍安寺が好きなんです。石庭が有名なあのお寺。岩が13個あるはずなのに、どの角度から見ても12個しか見えないという石庭。13個目を見るには心の目で。ということらしい。

人として心の目を鍛えるには心の修業を積む必要がありますが、「ビジネスで、問題解決に」と範囲を絞れば、今すぐにでも鍛えることができます。自分に見えてないものを意識できるようになる、という技術を。

 

どんな本か

基本的には、問題解決手法の本です。でもこの本、中味は易しくても説明が難しい。

 

昨年のセンター試験のニュース、覚えていますか。
マスクを拒否した受験生がいて、失格になった。
翌日、受験生の属性などが判明した。

「後で情報が出てきて、最初にニュース聞いたときの印象とガラリと変わる」こと、よくありますよね。最初のニュースに飛びついてテキトーなことを知ったかぶりで言うの、めっちゃかっこ悪いなあと思っています。でも普通はそうなるし、仕方ない。

でもでも、初見で知ったかぶりするオッサンにはなりたくない。どうしたらいいんだろう。

私がたどり着いた答えは「自分が何を知らないか、一瞬でも意識すること」です。
そして、そう意識できるようになるためのトレーニングを示してあるのが、この本です。

メタ思考とは何か

本のタイトルにある「メタ思考」とは何か。言葉で言えば、いち段階上の思考 となりますが、そんなん言われたってわからない。もう少しマシな言いかたをすれば、「自分が知らないことまで視野に入れて考える」ということになります。

料理で例えてみましょう。

<普通の思考>
料理を作るとき、冷蔵庫を覗いて「今ある材料で作る」のが、この思考にあたります。おなかはいくらか満たされるかもしれないけど、食べたいものが出来上がるとは限らない。

<メタ思考>
料理を作るとき、どういう料理を作りたいのかを決め、その材料を調べる。そして、足りない材料をお店に買いに行って、料理を完成させる。食べたかった料理が出来上がる。

ざっくり言えば、そんな感じです。

何のために考えるのか?まずゴールを意識して、ゴールに必要な大枠を理解し、その大枠と自分のもってる情報のギャップを見つめたうえで、考える。それがメタ思考。

メタ思考ができると何が良いか

メタ思考という名前自体はどうでもいいんですが、これが出来るようになるとやっぱり、会社でも全然違います。
会社でこんなことよくありませんか?

  • 売り上げが伸びないので、売上コンテストをやってチームごとに競わせる
  • とにかくみんなの前で表彰する
  • 根拠なく値下げする。値下げ幅の根拠もなし。
  • 新しいチラシやパンフレットをつくる

効果がゼロとは言わないけれど、もっとも効果が出るやり方とは思えない。なんだその馬鹿のひとつ覚えみたいな対策は。なんていつも思っていました。言っても伝わらないし。

伝わらないのは、仕方ないです。手持ちの材料で考えることに慣れ切った人に、「知らないことまで含めて考える」という話をしても、そもそも理解できない。パソコンを見たことない人にパソコンを説明するみたいなものです。
この本を読んでまわりの人を変えるのは無理ですが、せめて自分は変わりましょう。自分が変わるだけでも、仕事は楽しくなります。他の人に見えてないものが見えるようになりますから。

あとは、マスコミに踊らされなくなるし、なにより知ったかぶりおじさんになるのを回避できます。
この本を読んで、日々のメタ思考トレーニングを積んでいきましょうよ。

写真提供:京都のフリー写真素材