書評 考察・意見

つい読んでしまう文章、つい聴き入ってしまうプレゼンとは

つい読んでしまう文章とは、どんな文章なのだろう。

つい聴き入ってしまうプレゼンとは。

 

 

 

あなたは「面白い文章やプレゼンでしょ?」というかもしれない。

 

 

そうですね。面白ければ、読むし、聴く。

そうなんですよ。「ためになる文章やプレゼン」ではないんですよね。いや、ためになる文章やプレゼンも読んだり聴いたりはするけど、それは、「ためになるから読まなきゃ、聴かなきゃ」と思うからですね。その結果、眠くなったりするわけです。

でも面白いプレゼンは、つい聴いてしまうわけです。

 

どうやったら、つい聴いてしまうプレゼンができるんだろう。

 

そんなこと、論理的に理解できたら、苦労はしない。プレゼンが面白い人は、もとから面白い。とにかく練習すりゃ面白くなるんだったら、僕だってプレゼンがうまくなっているはずだ。間を取るとか、聴衆を見回すとか、いろいろやってみたけど、話が面白い人にはかなわないんだよ。

 

そんな風に思っていた時に、いい本と出会いました。これです。

 

ついやってしまう。なんて素敵な響きなのでしょう。自分がして欲しいことを、みんながついやってしまうなんて。あなたなら、何を、誰に、して欲しいですか?

 

 

あぁ、ちょっと妄想してしまいました。〇〇〇になったらいいなあ。でもどうやったらいいかなんて、誰も教えてくれないよね。

 

いやいや、ところがこの本は教えてくれるのです。そのやり方を。とても分かりやすく。すごいなこれ。こんな内容を、この程度の値段で公開しちゃっていいんでしょうかね。

・・・なんて書くと、ウソくさいな。でも、それが正直な感想です。

 

著者の玉樹さんは、もともと任天堂のWiiを作った人。どうやったら、みんながついゲームをやりたくなるか。そればかり考えて、磨いてきた人なんですね。それはもう、「ついやっちゃう」についてスゴいノウハウをお持ちなわけです。それを、この本で僕らに伝授してくれる。もとはゲームの話なのですが、人間の心の動きに着目して「ついやってしまうには、内容をどうデザインすればいいか」という話になっているので、何にでも応用できそうです。文章を書くのでも、プレゼンをするのでも、子供に勉強をやらせるのでも。

 

ここで簡単に説明できると良いんですけど、すべては伝わらないと思うので、さわりだけ書いておきますね。少しネタバレにもなっちゃうので、ここまでの文章で「読みたいな」と思った方は、切り上げてさっさと買ってしまうことをお勧めします。(本書の吸収を良くするためのひとつの方法。初頭効果というそうです。)

 

さて、そのさわりですが、ごくごく簡単に書くとこんな感じです。

1.直感のデザイン
  ユーザに直感で仮説を立てさせ、試してもらい、当てて嬉しくなってもらう

2.驚きのデザイン
  ユーザの予想を裏切り、疲れや飽きを取ってフレッシュな脳に戻す

3.物語のデザイン
  ユーザ自身が成長を感じるようにする

内容をこういうふうにデザインすれば、ついやってしまう体験になる。ということなんですね。

どうでしょう。お分かりいただけましたか。わかるわけないですよね。さわりしか書いてないんだもの。

でももし、あなたが、僕のこの文章をここまで「つい読んでしまった」のだとしたら、それは本書のおかげです。なぜなら、本書に書いてあったことを、さっそく実践してみた結果がこの文章だからです。

 

最初に書いた質問、

 

つい読んでしまう文章とは、どんな文章なのだろう

 

と、このすぐ上に紹介したさわりを見比べてもらうと、どこを実践してみたのか、お分かりいただけるかもしれません。

 

この本、おすすめです。

photo credit: BSNBCS Student Photography Black History, Lower School, Community Meeting via photopin (license)

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