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スマホ依存になる根拠と、その抜け出し方。あるいはスマホ依存から子どもを守るには。書籍「スマホ脳」レビュー

2021年4月20日

私たちはスマホに乗っ取られているんです。
いきなり何を言ってるんだ?と思うかもしれませんね。

では…ちょっと思い出してみて下さい。少し前に、スマホゲームでガチャというのが問題になりましたね。希少な景品が当たるかもしれない、という期待をもとにどんどん課金してしまうという仕組み。
あれはお金を無尽蔵に使ってしまう仕組みだから問題になりました。あんなの自分には関係ないと思います?確かに私もそう思っていました。この本を読むまでは。

どんな本か

古来、動物は、生き残れる資質を持つものが生き残ってきた。恐竜が生き残れなかったのは、弱かったからじゃない。「環境がものすごく変わったことに対し、新しい環境で生き残るのに必要なチカラを持っていなかった」から。
みんな知ってる話ですね。そしてそれは、人間も同じことです。人間だけは知恵で生き残ってきた、とか思っちゃうけど、違うのよ。食べ物があるときに食いだめできる奴が生き残ってきたし、猛獣に出会う機会が多いような場所では、逃げ足の速いやつや、火事場の馬鹿力を出す能力の高いやつが生き残ってきた。
逆に言えば、そういう能力の低い人たちは、子孫を残せなかった。

言い換えれば、「やばっ!!」というストレスを感じられる奴が生き残ってきたわけです。
ライオンに出くわしても平常心で居られるような人は、逃げきれれなかった。

というわけで、現代人がストレスを感じるのは、当然のこと。それのおかげで生き残ってきたのだから。ストレスとは我々が生き残るための仕組み。

しかし今、ストレスのおかげで病む人が増えている。特に若い人。スマホのストレスで、です。

毎日毎時、届くメッセージ。既読にしなきゃ悪いし、自分が贈ったメッセージは既読になったか気になる。投稿しなきゃ寂しいし、投稿したらしたで「いいね」が付くか気になって仕方のないSNS。つい20年前までなかったストレスが、めちゃくちゃ増えてているわけです。種類も頻度も、量も。
その多くがスマホ起因のもの。

生き残るために必要だったストレスを、生き残れない要素に変えてしまうスマホ。
ちょっと考え直さなきゃいけないんじゃないの?

という話です。
単なるテクノロジー否定論じゃなくて、もともとの人間の仕組みから考えているので、エセ科学が嫌いな人も素直に読めます。

僕らはどうしたらいいのか

じゃあスマホを捨てたら良いのか?まあ、それは理想的ですけど現実的じゃない。いまや、財布はなくても暮らせるけど、スマホがないと暮らせない世の中。
なるべく、悪影響を減らしていきましょう。そのためには?

例えば、食事の間はスマホをカバンにしまう。食卓の上に置いておくだけで、悪影響があるそうです。つまり、気になって仕方がない、という悪影響がね。そのほか、スマホの悪影響から逃れる具体的な方法はいろいろ書かれていますが、ここで網羅はできないので、目次の面白そうなところだけ少しピックアップしておきます。

  • マルチタスクなんて幻想
  • 運動が集中力を高める
  • バカになっていく子供たち
  • 人間の脳は悪いうわさが大好き
  • 「かもしれない」が大好きな脳

どうですか。特に「勉強の前に数分、運動をするだけで集中力が高まる」とか「若い人ほど(スマホ)依存症になりやすい」とかのトピックは、明日からでも生活を見直せるヒントにあふれています。特に子育て中の方々。別にスマホを敵視する必要はないけど、必要以上にスマホを触っちゃってるよな、というのは誰しも感じているのでは。これを読んでちょっとだけでも、スマホに支配された生活から抜け出しましょう。

Smartphone Stock photos by Vecteezy

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