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人員が減る中で生産性をさらに上げる、新しい方法。書籍「This is Lean」 レビュー

 

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どうも、学習欲が取り柄の読書屋、せいじ(@twi_sei_ji)です。

 

あなたの会社、社員、増えていますか?
最近、生産性に関するこんな本を読みました。

この本を必要とする理由

冒頭の質問、どうでしょう?成長中のベンチャー企業なら、増えつつあるかもしれませんね。でも古い企業はほとんど、社員減っているのではないでしょうか。だって日本の生産人口は減り続けているんだもんね。多くの会社で、人員削減は進む。でも仕事が減るわけじゃない。業績目標は上がる一方。働き方改革とコスト削減で、残業もそんなにできない。生産性を上げるしかないなんて分かり切ってるけど、そんなに簡単なことじゃない。

じゃどうしたらいいのか?

効率を上げるとどうなるか

この本が言うには、「フロー効率に注目しろ」ということなのですが、言葉の説明は後にして、まずはよく言うほうの、普通の効率について考えます。

モノを作る機械なら、ずっと稼働しているほうが効率がいいし、お店なら、お客様が居るときだけ開けているのがもっとも効率がいい。これを本書ではリソース効率と呼びます。今までの改善は、このリソース効率を上げる工夫として行われてきた。社員や従業員、機械を「いかに遊ばせないか」ということですね。

ところが、この「リソース効率に注目するやり方では、もはや生産性は上がらない」と言っても過言ではない。なぜでしょう?例えば、スーパーマーケットのレジで例えてみます。リソース効率を極限まで高めることを目指すとどうなるか。

<レジで考えると…>
1.レジ店員が常にレジを打っている状態が理想
2.ということは、常にレジ待ちの客がいる状態が理想(あれ?)
3.ということは、レジ待ちの行列を整える工夫、レジ待ちのクレームを受ける人が必要(あれあれ?)

いかがでしょう。ふたつぐらいおかしいところがありましたね。
まず3番。これ完全に「余計な仕事」。レジの効率を高めるために、本来ならなくていい仕事が生まれている。そこに人員をあてなきゃならない。これって本当に効率上がったって言うのか?違いますよね。これが「リソース効率が抱える永遠の矛盾」です。

だからフロー効率で考える

つぎに、前述の2番。常にレジに行列があるなんて、買い物客からしたら絶望です。夕方の混む時間帯ならまあ、仕方ないとは思うけど…。そう。普通に言う効率、本書で言うリソース効率とは、客の視点を無視した考え方なのです。
そこで、客から見た効率で考えようよ、というのがフロー効率です。客の拘束時間のうち、正味のサービス提供時間の割合は?レジ待ち8分、レジ計算に2分だったら、フロー効率は20%。これを高めれば、前述3番の余計な仕事は生まれないよね。だから矛盾も生まれない。

という話なんですね。
なにもレジと買い物客に限った話ではないです。車の生産と、その製造機械の間でも言えること。つまりフロー効率とは、「いままで”処理する側”で考えていた効率を、”処理される側”の効率で考えてみよう」という大転換なのです。

価値を見つめなおし、2つの効率のバランスを取る

だけど、最も大事なのは、効率の考え方転換ではない。スーパーマーケットの例で言えば、レジ待ちなんて気にしない人もいる。というか、少しぐらい待っても値段が安いスーパーマーケットが人気ですよね。だから、レジを増やすぐらいなら品物の値段を安くする、というのも立派な戦略です。大事なのは、「うちは価格の安さで勝負している店だから、レジを待たせても安くするほうを選ぶ」という判断の軸を持つこと。自社が顧客に提供している価値をしっかりと認識する。その上で、フロー効率とリソース効率のバランスを決める。スーパーマーケットなら、レジ待ち時間と商品の安さのバランスを決める。それが一番大事。下の図の、どこにポジションを置くかということです。

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自社の提供する価値を軸にする、なんて当たり前すぎて、この本関係ないはずだけど…でもそれを見失って、フロー効率向上の真似をする会社が絶えないんだそうです。トヨタのジャストインタイムをとにかく真似する、とかそういうやつ。やり方だけ真似しても、全然ダメなんだよ。わかってねーな。それがこの本の一番言いたいことです。

以上、これだけではかえっていろいろ疑問がわくかもしれませんが、そこは本を読んでいただくとして、最も大事なところはこんな感じです。

フォードの言葉を思い出してみる

あとは私が考えたことですが・・・

『どんな色のクルマでもお望みの通り。それが黒である限り』
ご存じ、自動車王ヘンリーフォードの言葉です。

お客さんが「他の色も欲しいな」って言ってるのに、現代でこんな事言ったら、即炎上するところですが…なぜあの頃はこんな言葉が許されたのか?

そうです。「手に入る価格の」「自動車を」たくさん供給することが、フォードモーター最大の価値提供だったから、ですね。そりゃ、赤や黄色のクルマも欲しいなぁ、というお客様の声はあった。だけど、その声を聞き過ぎて色のバリエーションを増やし、その分、生産性が下がり、価格が上がったり納期が延びたりじゃあ、本来の価値提供ができなくなる。それこそフォードの存在価値を見失うようなものです。だからあの時は、生産ラインのリソース効率を最大に考えるやり方で良かった。

しかし今の世の中で同じことを言えば、そんな会社のクルマは売れる訳がない。なぜか?世の中が自動車メーカーに求めている価値が、ヘンリーフォードの時代とは違うからですね。

なのに。僕らはいまだにヘンリーフォード時代の効率で考えていないか?

っていうことだと思うのです。いろんなものに対する考えかたを変えなきゃならない今、効率に対する考え方も変えなきゃね。

この本、かなりお勧めです。

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