書評 考察・意見

「誰も気づいていない事実」に気づくのは、実はそんなに難しいことではない。この本を読めばいい。

Q.現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?

(選択肢) A.20% B.40% C.60%

というクイズが冒頭に出てくるこの本、読みました。

 

めっちゃくちゃおもしろかった。表紙が、最近よくあるビジネス書のデザインなので、ちょっと距離を置いていたんだけど、大間違いだった。これはすぐ読んだほうが良い。これを書いた人の動画がこちらです。以前から結構有名なスピーチ。


Hans Roslingの先入観に関する話

僕らには、真実が見えているようで、全く見えていない。世界に関するほとんどのことを、思い込みで知っている気になっている。それは、僕らが素人だからじゃない。ジャーナリストや、学者の集まりでも、このクイズに正答できる人はすごく少ないそうだ。

 

思い込みには、いくつか決まったパターンがある。

そのパターンごとに “僕らがどのように、間違った思い込みをしやすいか” この本では丁寧に説明されている。自分はこんなに間違った思い込みをしていたのか、と目からうろこがボロッボロ落ちる。僕の部屋は、目から落ちたうろこだらけになる。

 

僕らは、物事を悲観的に見がちで、パターン化した法則を当てはめがち。なんでも犯人を捜したがり、リスクを過大評価し、焦って判断を誤る。そういうことらしい。
最初に提示されたクイズで、まるっきり外しているのだから、認めざるを得ない。僕らは世界を全然知らない。

 

しかたない部分はある。それが人間だから。でも、事実に基づいてじっくり見れば、ものごとの本当の姿が見えてくる。

何より大切なのは、自分が多くを知っていると思わないこと。自分が知っていることなんて、たかがしれている。普段得る知識ですら、誰かによって単純化されたものが多いのだ。

 

自分はたいして知らない、という自覚を持つ人だけが、事実を確認することを思い立ち、思い込みでない本当の姿にたどり着ける。

 

この記事を読んで、「あぁ、はいはい、そういうことね」とわかった気になったあなた。それが、危ないのだ。僕もよくやるけど、たぶんそれは、自分が知っている知識に関連付けただけ。本当にこの本の中身をつかんだかどうかは、少なくとも本屋で立ち読みしてみないと、分からないと思う。

 

ファクトフルネス、覚えておこう。実践はなかなかに難しいけれど。

photo credit: Free Public Domain Illustrations by rawpixel Binoculars in vintage style via photopin (license)

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