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思い込みに気づくだけで、ものごとの正しい姿を見ることができる。書籍「ファクトフルネス」レビュー

2019年3月25日

Q.現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?

(選択肢) A.20% B.40% C.60%

というクイズが冒頭に出てくるこの本、読みました。

めっちゃくちゃおもしろかった。これは読んだほうが良いです。著者の動画がこちらです。以前から結構有名なスピーチ。


Hans Roslingの先入観に関する話

僕らには、真実が見えているようで、全く見えていない。世界に関するほとんどのことを、思い込みで知っている気になっている。それは、僕らが素人だからじゃないのです。ジャーナリストや、学者の集まりでも、このクイズに正答できる人はすごく少ないとのこと。

思い込みには、いくつか決まったパターンがあるのです。

そのパターンごとに “僕らがどのように、間違った思い込みをしやすいか” この本では丁寧に説明されています。自分はこんなに間違った思い込みをしていたのか、と目からうろこがボロッボロ落ちる。僕の部屋は、目から落ちたうろこだらけになる。

僕らは、物事を悲観的に見がちで、パターン化した法則を当てはめがち。なんでも犯人を捜したがり、リスクを過大評価し、焦って判断を誤る。そういうことのようです。コロナで、痛感しましたよね。
そんなことないよ、と思う人だって、最初に提示されたクイズで、まるっきり外しているのだから、認めざるを得ない。僕らは世界を全然知らないのです。

もちろん、しかたない部分はあります。それが人間だから。でも、事実に基づいてじっくり見れば、ものごとの本当の姿が見えてくる。特に、コロナ禍を経験した僕らは、事実やデータの重要性をよくわかったはずです。

何より大切なのは、自分が多くを知っていると思わないこと。自分が知っていることなんて、たかがしれている。普段得る知識ですら、誰かによって単純化されたものが多いのですから。

自分はたいして知らない、という自覚を持つ人だけが、事実を確認することを思い立ち、思い込みでない本当の姿にたどり着ける。

この記事を読んで、「あぁ、はいはい、そういうことね」とわかった気になったあなた。それが、危ないのです。僕もよくやっちゃうけど、たぶんそれは「自分が知っている知識に関連付けた」だけ。本当にこの本の中身をつかんだかどうかは、少なくとも本屋で立ち読みしてみないと、分からないと思います。

ファクトフルネス、覚えておこう。実践はなかなかに難しいけれど、これを知っていると知らないとでは、大きな差がある気がします。

photo credit: Free Public Domain Illustrations by rawpixel Binoculars in vintage style via photopin (license)

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