永遠に生きるかのように学べ

ほぼ読書、ちょっと音楽、このごろキャンプ。

ホッケースティック戦略ってなんですか。どうやったら実現できるんですか。

 

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ボス「年度末まであと少し。目標達成に向けて、やれることは全部やろう!」

部下「…。」

 

年度末が近づき、目標数値の達成見込みが厳しくなると、よくある光景です。なんちゅう精神論。

それを聞くたびに、違うんだよな~と僕は思うわけです。いや、年度末までもう期間がないのだから、効果的な策に集中したほうが良いでしょ。そんなん言ってるからダメなんですよ、って。思いますよね皆さんも??!

だけど、そんな声はボスには届かない。なぜか。

「やれることは全部やれ」は精神論だけど、「効果的な策に集中したほうが良い」にも、明確な根拠がないからです。ボスがボスなら、部下も部下。 お互い様だよね。もう少し立派な反論がしたいものです。難しいけど。

そんな時に、この本。

 

どういう本なのか

ホッケースティック。わかりますよね、あの形。あんな具合に業績が、最初ちょっと下がるけど、そのあとグググっと業績が伸びる戦略とは…


なんてことは、書いてありません。残念!

そりゃそうだ。すべての業種、すべての会社に当てはまる、そんな戦略あったらやってるわ。それを考えつくのが難しいんだろーが。

でもね。

実は、考えつくのは、そこまで難しくないんですよ。いや結構難しいけど、でも最も難しい点は他にある。大胆な戦略を本当に実行することなのです。

なぜか。

障害物ばかりだからですよ。たとえ会社のためとはいえ、他人が大きい手柄を立てるくらいなら、自分が小さい手柄を立てることを優先する人たち。とにかく今の仕事を変えたくない人たち。戦略転換で自分ところの人員を削られたくない管理職。思い切って大ナタを振るえない経営者。もう、そんなのが寄ってたかって良い戦略を骨抜きにしていくわけですよ。思い当たるでしょ?そこに対して、良い戦略を考えた側が声を枯らして訴えたってダメなわけです。みんながつぶす気なんだもの。

ところが、この本は、その「良い戦略を押し通す」ことをサポートしてくれる。もちろん、データの裏付けを以て。そういう本なのです。

何が書いてあるか

この本、戦略そのものは教えてくれないけれど、

  • 業績向上とは、定量的に何で図るべきなのか
    (どの指標を上げたら成功と言えるのか)
  • 良い戦略(大胆な戦略)とは、どのような条件を備えているものか
  • 良い戦略が成功する確率は
    その確率をさらに高めるには

ということを教えてくれるわけです。つまり「あなたの立てた戦略がホッケースティックであるかどうか」を見極めるリトマス試験紙を与えてくれるし、もし本当にホッケースティック的戦略であったなら、その実行に反対する者たちを黙らせるデータをくれる。過去何千という会社を何年にもわたって分析してきた結果を基に。

これは心強い。

しかし同時に、あんまり夢のない話でもあります。優秀なスタッフをそろえりゃ大逆転できるとか、そういう話じゃないから。研究開発に回すお金があるほうがいいとか、業界によって成功確率がある程度決まっちゃってるとか、けっこう身も蓋もないです。

この本のすごいところは何なのか

結局、戦略を診断するにあたって挙げてある、ひとつひとつのチェックポイントは、そんなに目新しくないんですよ。でも実際、戦略を良くするためのチェックポイントなんていくらでも思いつきますよね。大胆な戦略を実行するため、人員を配置するのなら、広く薄くではダメ。とか。そりゃそうだろ、というものが多い。しかし、「数あるチェックポイントから、この10個を重視すればいいです」と言い切ったのが、この本のすごいところなのです。

本物のホッケースティックは必ず存在します。必要なのは、多くの偽物の中から数少ない本物を見極めることです。

この見極め方を教えてくれる。さらに、チェックポイントを示すだけではなく、そのチェックをクリアするための方法ももちろんセットで。
あとひとつ、この本、

  • 戦略の成功を確率で認識し、努力で頑張れ、じゃなく、確率を上げるアプローチで考えること

がとても素晴らしい。戦略の実行って普通、走り出したらもう、ゼロイチしかないですよね。やりきるか、やりきらないか。成果が出なかったら、努力が足りなかった、工夫が足りなかったって話になりがちです。でもね、「努力が足りなかった、工夫が足りなかった」って論点だけで反省するってことは、「しっかりやってたら、その戦略は100%成功していた」ってことですよね。でもそりゃさすがにおかしい。外部要因だってあるはずだし。おかしさが分かっていただけるのではないでしょうか。

どうやったら成功するか、ではなく、成功確率を高めるには、どういう条件を備えるようにアクションするか。

その視点が、この本で得られる最も大切なものだと思います。

 

本当は、「こういう施策を実施したら、どれくらい成功確率が上がるか」って数値まで欲しいけれど、それはいくつかの事例でしか載っていません。ま、そこはマッキンゼーにご用命を、ってことなのでしょうね。うまくできてるわ。

photo credit: More pictures and videos: connect@epp.eu Campaign Managers' Meeting, 25-26 April 2016, Sofia, Bulgaria via photopin (license)