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ジョブ型雇用は、社会的背景から本当に理解しないと意味がない。書籍「人事の組み立て」レビュー

 

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どうも、学習欲が取り柄の読書屋、せいじ(@twi_sei_ji)です。

 

人事の仕組みなんて、興味ありますか?私は全然。
Google人事の本、Work Rules!!は良かったけど、普段は興味を持つことありません。もとからあるものであって、なぜそういう仕組みになってるのか?なんて考えたことない。しかし、おすすめされてこれを読んでみたら、とてもすっきりしました。

この本を読むことで何を得たかったか

正直、あんまり期待してなかったです。人事制度とか興味ないし、ジョブ型雇用なんて、最近よく聞くけど、ただのいち雇用形態だと思っていた。
ただこの本、広く読まれているようなので、単に人事担当者向けの話なのではないだろう。なにかあるのだろうな。というわけで、何も期待せずに読んでみたわけです。そしたらすごく面白かった。いままでバラバラに知っていたものがきれいにつながった感じ。小説で伏線が回収される時みたいな感覚があります。

どういう本か

メインのメッセージとしては「流行りだからって安易にジョブ型とか言ってんじゃないよ。ジョブ型は別に新しい雇用形態じゃないし、日本型が古くて使えなくなったわけじゃない。ジョブ型にはジョブ型なりの背景と必然性、そしてデメリットがある。日本型雇用だって、同じこと。それを踏まえて、これからどういう形態が良いか、考えようぜ」ということなのです。

初めて知りました。日本型雇用はもう古い、なんて、1960年代から言われているんですね。ジョブ型が今の時代に合っている、とかそういうことでもないのです。

簡単に言えば、ジョブ型はポスト(役割)に仕事が付いている。対して日本型は、人に仕事を付ける。だからメリットも問題も、採用のしかたも給与の上がり方も全然違う。

これらを背景から、仕組みとして解説してくれます。制度の設計思想とでも言うべきかな。

なんか人事って、仕組みとして言葉で説明しにくいじゃないですか。適材適所と言ったって、「なぜその人が、その仕事に適しているの?」って聞かれたら、「いや、こういうこと得意そうだから。こういう知識もあるし」なんて、占いより少しマシな程度の説明しかできない。ところがこの本では、そこがすごくすっきり論理的に説明されているわけです。適材適所が、じゃないですよ。いまの人事の仕組みがなぜこうなっているか、ということがです。

言い換えるなら、日本型雇用は、会社が望んだわけじゃない。終身雇用、新卒一括採用、年功序列などなど…そういう仕組みのほうが、社会全体として上手く回るから、だったのです。ここは目から鱗でした。とても全部は説明しきれないので、本書を読んでみてください。前半分だけでもいいですから。面白いですよ。

日本型雇用を野球に例えてみる

社会が望んだとはいえ、日本型雇用に問題がないわけじゃない。例えば野球のポジションで考えてみると…。

投手としてチームに入った選手が、いまいち活躍できなかったとします。ならば、戦力外通告とか、契約更改しないとか、なるわけです。当然ですよね。これがジョブ型雇用。ポジションに仕事が付いている。ところが日本型雇用は違う。「投手できないなら、野手に転向して。そしたらチームに残してあげるよ」となるわけです。プロ野球で考えたら、そんなのめったにあることじゃないのに、日本の会社ではこれが普通。優しいと言えば優しいけど、割を食うのは2軍の若い野手くんです。「おいおい、そんなのをレギュラーにするなら俺を1軍にあげてくれよ」ってなりますよね。

そんな野手くんも、年を取って逆の立場になれば「あー、このチーム優しいなあ」ってなるわけです。メリットもあり、デメリットもあり。どっちが良いって話じゃない。

ではどうしたらいいか

ジョブ型か日本型かどっちが良いか、という2元論ではないけれど、直すべきところは直していきたい。社会の要請で出来上がった仕組みなのだから、社会が変わってきたらやっぱり変えていかないといけないし。
そこでどうして行ったらいいか、も本書では提示されていますが、それこそ人事制度の話になってしまうので、人事部以外の人には参考まで、という感じです。(本当は後半も実りある話だと思うのですが、前半の「そうだったのか!」というインパクトが強すぎて…)

根本的な理解なくして、単にジョブ型雇用が流行りだからって手を出すと、結局何の問題も解決できないまま終わる。流行りの「DX」って言葉を聞いてやってみたけど…っていうのと同じですね。そうならないように、この本、なかなかおすすめです。

あ、でも買うなら是非、紙で。Kindle版はマーカー引けない、文中にメモつけられない、しおりを挟むのにもひと苦労でめちゃくちゃストレス溜まりました。

 

Hand Stock photos by Vecteezy