書評 考察・意見

一を聞いて十を知る、じゃ知れないことがある。

わかってからじゃないと、わからないことがある。

 

これは、僕が好きなミュージシャンのひとり、シュガーフィールズの言葉。
彼が、リズム(グルーヴ)のトレーニングをする中での言葉だ。リズムとかグルーヴ、タメ、ノリ。言葉で表現するのはとても難しい。跳ねるようなリズム、とか、粘りのあるグルーヴ、とか。もちろん、16ビートのウラ拍、とかなんとか、定量的に表現する方法はあるのだが、それですべて表現できるようなら苦労はしない。

先生から、グルーヴについて言葉で説明されながら、ひたすら練習をする。ドラムの練習なのかベースなのかは忘れたけど、当然、なかなかつかめない。でもひたすら練習するうちに、「あれ?こういうことかな?」と少しわかってきて、やがて完全に理解し、つかむ。

そうなってから、先生が説明してくれてた言葉を思い返す。

すると、「あぁ、こういうことを言ってたんだな。確かにその通りだ。」と納得する。
つまり、「わかってからじゃないと、わからないことがある」というわけだ。もう10年くらい前にmixi(!)にさらっと書き込まれていた言葉だけど、いまだに忘れられない。

 

さて。この本。

読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術

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  • 作者: 田中泰延
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2019/06/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

『読みたいことを、書けばいい』

 

このタイトルで、この本の言いたいことは8割がた含まれている。

しかし同時に、本を全部読んでみないと、このタイトルに含まれているすべての意味は分からない。まさに「わかってからじゃないと、わからないこと」なのだ。

 

『1を聞いて10を知る』のもかっこいいけれど、念のため1から10まで聞いてみるのも、結構意味がある。きっと、1を聞いて10を知るのでは、1から10の間にある密度まではわからないんだ。

この感覚は、ちょっと覚えておこう。

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