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「インターネット的」とは絆のことだった。書籍 インターネット的 いまさらレビュー

2022年6月4日

インターネットは、ただの道具なのだろうか?インターネットに影響され、世の中が良くなっているとしたら?

ずっと前から話題の、こんな本を今さら読みました。出版されて10年後に話題になる、ってことは、おそらく不変の原理みたいなものが書かれている。そう思ったので、出版後20年の今読んでも役立つだろう、と思ったからです。

どんな本か

インターネットのことはあんまり書いてありません。「インターネット的」という考え方について、書いてあるのです。インターネット と インターネット的は、全く違う。インターネットはものの名前、インターネット的は、行動の様子を表す言葉。別にインターネットを使わなくても、インターネット的にはなれる。

じゃ、インターネット的とは何だ。

この本では、「リンク、フラット、シェア」というキーワードで説明されています。ざっくり私なりに言うと、

  • リンク
    明確な利益や目的ありきではなく、なんとなく面白そうなどの理由でみんなとつながる。お金などから自由になる。
  • フラット
    今の地位など関係なく誰とでもつながる、つながることが許される。現実のポジションから自由になる。
  • シェア
    持っているものは、秘密にするより公開する。そのほうが面白いことが起きる。これも、利益などから自由になるってこと。

という感じです。2022年の今なら、皆さんネットでよく目にしている行動なので、理解できますよね。これを20年前に書いていたから凄いわけです。あの頃は、ネットでいかに稼ぐか、をみんなが考え始めていた頃。ネット通販などが普及し始めたり、ドットコムバブル前夜というところでした。

しかし、今ならもうわかり切ってることなのか?いまさら、この本は読む価値がないのか?というと、そうでもないわけです。愚かな僕らは同じことを繰り返す。今で言えば、メタバースですね。様々な企業がメタバースで稼ごうと、なんやかんや、やろうとしているわけです。ネット通販が盛り上がるころに似てるよね~。同じことを繰り返すのかな。

でも僕らには、いまやこの本がある。20年前、糸井さんしか持っていなかったモノの見方を、僕らもこの本で持っている。少し希望が持てます。

結局インターネット的とはなんなのか

具体的に言うとそーゆうことなのですが、もう少し考えを進めてみます。私なりにまとめると、インターネット的とは、行動様式。具体的には…

  • リンク
    ネットで面白そうな人はフォローするし、コメントしたり、感想を送ったりしてつながる。これはもうできてる。
  • フラット
    自分が有名人だろうが、会社役員だろうが、簡単に気軽につながる。まあこれももうできてますよね。ネットで自分の役職を振り回すヤツなんて、いないでしょ。肩書を、気を引くための看板にはするけど、肩書によって威張る人はいない。そんなのダサいから。
  • シェア
    これは…一番できていないかもしれない。このブログも、私が得た知見のシェアですが、誰かが受け取ってこそのシェアですもんね。ただの発信ではない。でも、「読まれるブログ記事」を狙って書くことなんて難しすぎる。結局、いるもの要らないもの一緒にシェアしてみるしかないのです。

って書きながら、気が付きました。結局私、ネットの中での行動について書いている。ちがうちがう。

インターネット的とは、インターネットの外でどうふるまうか。それをただ、ネット内にも投影するだけのこと。

今までリアルの世界では、目的もなく繋がろうとしたり、意味もなく知らない人とシェアしたりなんて、おかしい行動だったわけです。それがインターネット文化のおかげで、リアル世界でもそういう行動が普通になってきている。

よく使われる言葉で言えば、「絆」ってのはそれに近い。

インターネット的な考え方を以て、リアル世界で活動していく。そうする人が増えれば、リアル世界もインターネット的になっていく。それは、良い世界であるはずです。そうでしょ?みんなと気軽につながれて、みんな誰かの役に立って、みんなで分け合う。いいよね。

みんなで「インターネット的世界」を目指そうじゃありませんか。

お勧めです。この本。

photo by いらすとや

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