書評 考察・意見

ファンの声を聴け。自分の価値を明らかにし、AI時代に生き残る術。【書評】AIに選ばれ、ファンに愛される。

あなたはネットで買い物する時、下調べします?その時、価格ドットコム?それともAIに聞きますか?
私はまだ自分で調べますけど、結構AIの回答を参考に買う人も増えてるみたいですね。検索するだけでAIの回答が一番上に出てきちゃうし。

まだちょっとAIは信用できないけれど、そのうち信用できるようになるんだろうなあ。なんて思っていたら、こんな本に出会いました。

どんな本か

著者はもともと、食べ歩きとマーケティングで有名な方です。讃岐うどんのガイド本で有名になったんだったかな。うちにもあります、「うまひゃひゃさぬきうどん」。

ですが、この本はマーケティングのほう。著書のさとなおさんは今までも、マーケティングの本を何冊も出していますが、すべての著書に共通するのはこういう姿勢です。

  1. まず、生活者(消費者)を深く深く理解する。何を見て何を感じ、どう行動するのか。
  2. その後で、それを理論にまとめる。
  3. 最後に、その理論を実践する方法を示す。

つまり、具体的な話→抽象的・全体的なまとめ→具体的な応用方法、をやってくれる。お陰でめちゃよく分かる。

今回は、「AIという相談役を手に入れた生活者がどう動くか」について、上記を整理した本になっています。AIがどうなるか、世の中をどう変えるかという本は腐るほどありますが、もうAIがある前提で「一般人が全員、すぐれたAIを手に入れたら何をするのか」という視点の本はかなり珍しい。しかも僕らがどう動くだろうか、という話なので、全然難しくない。あー、確かにそうするだろうね、って納得だらけ。

しかもそれを、売る側が応用できる形にまで落とし込んでくれてるわけです。頭いい人ってのはこういう整理が出来るんだよなあ。

読むと何が得られるか

ところで、「AIを手に入れた生活者」を深く理解すると何がいいのか。簡単に言えば、何か売ってる人にとって「これから生き残る方法」が分かる。というか、もう少し正しく言うと「これ理解しないと商売終わる」ってくらい深刻な話です。

商売終わるって大げさだなあ、て思うかもしれませんが、私、結構実感してます。このブログの売り上げも、AI出てきてから1/3くらいになってしまったんですよ。もともと大した売り上げないのに1/3なので、もうブログ維持するだけでカツカツです。じきに赤字になるでしょう。まあこうやって読んだ本の考えをまとめる、自分のためにやってるので赤字でも続けますけど。

私のことは置いといても、これが企業だったら、赤字でも続けるとか言ってられないですよね。けれどAIのおすすめに出てこないと、生活者からは世の中にないのと同じ。これまでの「検索上位に出てこなかったら世の中にないのと同じ」に似ています。検索よりさらにシビアなのは、1位じゃないと買ってもらえないってこと。検索だったら、1位ってちょっと疑いませんか。でもあなたの好みを全部分かってるパーソナルAIが、あなたに進めてくるものだったら、1位しか見ない可能性、高そうです。1位がダメだったら初めて2位を見る。これはキツいぞ。

一番安くたってダメなんだもの。今までなら、似たものの中で一番安ければある程度買ってもらえたけれど、これからAIが「それ一番安いけど、あなたにぴったりじゃないからたぶん後悔しますよ」とか言うようになったら…それでも買います?

どうですか。怖いでしょ。この「怖さ」を実感出来るのが本書の一番良いところです。

これからどうしなきゃならないか

ただ、安心して下さい。怖がらせるだけでは終わらない。本書曰く「ファンの声を聞け。ファンを大切にしろ」という話なんです。
マーケティングって言うと普通、「いかに売るか」みたいな話ですが、さとなおさんは一貫して「もともと欲しがってくれる人に、いかに届けるか」という話をしています。なので端的に言えば「ファン」ってことになるわけですね。

で、ここが大事なのですが、「ファンを作るんじゃなくて、ファンを見つけてその声を聴くのが大事」 とおっしゃるわけです。

ファンを作るじゃなくて見つける、その上で声を聴く とはどういうことか。
自分で気づいていない、自分の価値を教えてもらう てことなんですよ、結局。でも普通難しいですよね、外から見た自分(自社商品)の価値を知るって。これを正しく分かるんなら、多少のお金は喜んで払いますもん、個人でも。僕の価値ってなに?

自分の価値が分かれば、そこで初めて、価値を維持するとか、さらに尖らせるとか、新しい人に価値を届けるとかも出来ていくわけです。たとえ数人でも、ファンって大事なんですね。価値を教えてくれるんだもの。
さらに、ファンは、あなたにあなたの価値を教えてくれるだけじゃない。AIにあなたの価値を教えてくれるわけです。AIなんて結局、人間の意見を学んでいるだけなのだから、ファンの声を聴けば、まわりまわって、AIにも選ばれるようになる。

以前から分かってはいたけれど

これ、新しい話じゃないです。さとなおさんは以前から、ファンの重要性を訴えていて、そういう著書も何冊か出しています。そして、私はそれを読んでいます。何年も前に。

でもね。今までは、ふーんというぐらいで、そんな切迫感なかったんです。ブログで言えば、検索で来てくれる人より、いつもチェックしに来てくれる人が大事、なんて皆言ってましたから。でもこのブログのファンがいるとも考えにくいので、ま、よその話だったわけです。そういう戦略取るところもあるだろうね〜、てぐらい。

ところが、皆がAI使うのが当たり前になった今、この状況を絡めてファンの重要性を説明してもらったら、これまでになく切迫感が立ち上がってきた。選択肢のひとつじゃなく、とうとう、ファンに向き合わないと潰れるしかない、という世の中になっちゃったということです。

えらいこっちゃ。何かを作ったり売ったりしてる皆さま、この本、読んでおいたほうがいいですよ。

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