書評 考察・意見

「さよなら」の先にあるもの (さよならインターネットを読んで)

気になってた家入さんの本、読みました。

 すごく面白かった。ぼんやりと感じていたものを綺麗に繋げてもらった感じ。

 

パソコン通信の全盛期からインターネットの普及期を体験する中で、パソコン少年は何を見いだし、何を求めたのか。

 

コミュ障の少年が求めていたワクワクを、満たしてくれたインターネット。フラットであり、身元も分からないような魑魅魍魎の住みかであり、思いもつかないようなものとの出会い、世界の広がりがあった。

 

一方、現在。

モラル自警団が目を光らせ、バッシングしたいだけの人があふれ、罵詈雑言を投げつける場となってしまったSNS。
自分の興味あるものだけを選んでくれるニュース配信とサーチエンジン。

 

その世界は狭く閉じる方向へ向かい、インターネットはバーチャル「世界」ではなく、ただの道具になりつつある。

 

いったいどこで間違っちゃったんだ。
ワンダーランドはもうないのか。
世界はフラットになったんじゃなかったのか。

 

本書はまず、その喪失感を共有する。
そしてそれこそが、この本のキモ。インターネットを使い始めたころ思い描いた、「あの頃の未来」に僕らは立ってないんじゃないか。

 

あの頃「インターネット的」だと思ってたものは、もう今のインターネットにはない。だから、一度「さよならインターネット」と告げる。

 

 

だけど。
やっぱり「インターネット的」なものは諦めたくない。あのワクワクをインターネットに取り戻したい。

 

どうしたらいいんだろう。

 

 

本書はもちろん、そこまで言及している。でもここでは書かずにおこう。

 

なぜなら、それはひとそれぞれだから。
「さよならインターネット」という喪失感は、家入さんに指摘されるまで見えていなかったけど、この本を読むことでそれを追体験したならきっと、みんなそれぞれ

「じゃあこうしてみよう」

と思いつくものがある。 あるいは言い換えるなら、こんな質問への答。

 

 

あなたにとってインターネットとは何ですか?

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