もはやベテランになりつつある皆さん。若手に任せることができていますか?
できていても、やっぱり現場が一番楽しいですよね。だけどベテランがあまりでしゃばるのも良くないし。マネージャーに徹するのもあんまり面白くないなあ、なんて思っていました。
そんなときにこの本を読みました。嬉しいことに「若手の邪魔にならずに現場で動き続けるヒント」をもらった気がします。
どんな本か
一言で言うと、テクノロジーによって社会を良くしていくにはどうやるか、という本です。考え方から、具体的なステップ、ツールまで紹介してくれている。でも安直なノウハウ本じゃなく、めっちゃ骨太な感じ。
まず、テクノロジーを軸に考えてはいけない。どういう世の中にしたいのか、そのために何を解決したいのか。それを突き詰めた上での、手段としてのテクノロジーなんだ!!ってことを腹から理解できるよう、力説されます。そのあとで、課題(インパクト)設定の方法、合意形成の方法、社会へ浸透させる方法などなど、次々と現れる難問にどう立ち向かうかという方法論をくれる。そんな本です。
読んでる途中で気が遠くなる
読んでる過程で実感するのは、「こりゃ大変だぞ...」ということ。何が大変かって、合意形成ですよ。
民間企業で何か新商品を発売するとしましょうか。企画書を書いて、開発の承認を得て予算を取って、製品を作れたら売るためにマーケティングを頑張って...みたいな苦労があるわけです。だけどとにかく、売れるかどうかは世に出してからじゃないとわからない。
ところが。
これが「テクノロジーで社会を変える」話となると、「製品を出す前に、たくさん売れると確定させなきゃならない」みたいなことになる。
テクノロジーを社会に適用するには、法律を変える必要もあるし、人々の生活も変えてもらわなきゃならない。まあまあ多くの人々や自治体に「やってもいいよ」と合意が取れてから初めて適用できる。
ほら、お金こそ消費者から取るわけじゃないけど、「製品出す前に買うと決めてもらう」みたいでしょ。これめちゃくちゃ難しいんじゃないだろうか。
頼りは自分の「これできたら絶対世の中良くなるぞ!!」という信念、情熱、それをもとにアピールして人々を巻き込むチカラ。うっわ~、とてつもなくハードル高い。
こういう仕事こそベテランが
しかもハードル高いだけじゃない。おそらく時間もめちゃくちゃかかる。10年単位で考えないといけない。
数多くの関係者と、すごく時間をかけて、社会を良くしていく。こんなの若いやつにはやらせられない。彼らは短期間で成長したいだろうし、成果が出るまで何年も我慢するのも厳しいだろう。まして老若男女に働きかけて合意形成していくなんて。若かったら反発こそすれ、我慢に我慢を重ねて粘り強くできる人なんて多くないのでは。
あれ...これベテランがやったらいいのでは?
若手の邪魔にならずに、経験も活かせて、しかもプレイヤーとして歯ごたえのある仕事に取り組める。現場大好きベテランとしては、挑む価値あるんじゃないでしょうか。
泥臭いところ含め、志のためにはなんでもやる。
やらなきゃならないことはあまりに幅広く、デカイ。それだけに一生をかける価値があるのではないでしょうか。今からのライフワークはデカイやつに取り組もう。自分の一生では終わらないようなやつを。
幸い、どうやればいいかは、だいたいこの本が教えてくれた。最初の一歩を踏み出すには十分なノウハウ。ここまで教えてもらったら、やるしかない。そんな気にさせてくれます。おすすめ。
最近、マネジメントやアドバイスばっかりでつまんねーなぁ、と思ってたベテランの皆さま。一緒に社会を良くしていきましょうよ。
photo byフリー写真素材ぱくたそ