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理系営業マンや営業企画にお勧め。自分で使ってみたくなるベイズ統計

SEが営業をやるときの武器

今までずっとSEをやってきましたが、ただいま営業をやっています。もともとSEにしては喋るほうなので、営業もなかなか楽しんでおりますが、やっぱり営業活動をしっかり分析したくなる。SEの血が騒ぐという感じで。

営業やってると、受注率とか気になりますよね。現在の受注率と、それに影響を与える要因がはっきりしたら、もっと少ない営業で多くの受注をとれるのに。特に営業マネージャーにとっては気になるところです。そのくせ、いまどき気合い論・経験論がこれほど幅を利かせる分野も珍しい。
こりゃちょっとサイエンスしたら、営業素人の僕でも頭ひとつ抜け出せるんじゃないか。そんなことを考えているときにこの本と出会いました。 

 

ベイズの定理といえば、映画「ラスベガスをぶっ潰せ」で興味を持ってから、ちゃんと学習したいなぁと思っていましたが、ようやく本を一冊読んだわけです。

 

で、面白かった!!

 

なんと、新しいおもちゃを手に入れたような感覚ですぐ使ってみたくなるんです、この理論を。こういう勉強の本にしてはすごく珍しい。使いたくなる理由はふたつあって、ベイズの定理が結構ユルい数学なのがひとつ。もうひとつは飲み込みやすさ。ベイズの定理って、「ユルいがゆえにわかりにくい」部分もあるんだけど、著者がそこはうまく料理している。おっさんとしてはラノベぽい表紙に抵抗あるけど、表紙は伊達じゃない。確かに分かりやすく解説してあります。

 

分からない確率を探るには

たとえば、一枚のコインをトスして、表が出る確率を考えてみましょう。
『そんなもん、50%にきまってるだろ!!』
と思った方。甘い。算数に慣れすぎています。あなたの持ってる10円玉、本当に表が出る確率、50%?

 

50%というのは、「表も裏も完全に均等なコインである前提」での確率です。細かいことは面倒だから考慮しない。算数では当然すぎて、忘れてたでしょこの前提。
世の中に、算数の問題に出てくるような完璧なコインなんてあると思います?ほとんどのコインは表と裏で刻んである模様が違うし、ないですよね多分。じゃ、僕が持ってるこの10円玉は、表がでる確率、本当はどれだけなんだ。それを調べるには、実際にコインをトスし続けるしかないんです。

・・・といっても、何回トスすればいいかわからない。
じゃとりあえず「表が出る確率は50%」と仮定しておいて、トスした結果が出るたびに、その結果を確率に反映していこうよ。トスを100回すれば100回した分だけ、1000回すれば1000回した分だけ、「このコインで表が出る本当の確率」に近づいていくよ。

という考え方なんですね。アジャイル的というか、リーンスタートアップ的というか。とにかく簡単だし、現実に合ってるし、なかなかいい方法だと思いませんか。使う計算だって、足し算、掛け算と割り算だけ。excelでちゃちゃっと作れる。

 

営業の活動分析と、それによる受注率向上にぜひ使ってみたいと思います。 
データが足りなくても、集計の途中でも「なんとなくこれくらいの確率じゃない?」を数値に変える方法、ベイズ統計。 

コレ使えば、結果論だけじゃない営業ができる。早く使ってみたい。

photo credit: Rosmarie Voegtli   via photopin (license)

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